<スタジアムツアーとHall of Fame> 2006年1月2日
翌日、1月2日。スタジアム・ツアーと Packers Hall of Fame に行く。
ランボー・フィールド内には「ランボー・フィールド・エイトリウム(Lambeau Field Atrium)」という施設があり、そこに「Hall of Fame」をはじめグッズを売っている「Pro Shop」やレストランが入っている。スタジアム・ツアーはエイトリウムのロビーからスタートする。チケットは、Hall of Fame のカウンターで購入する。大人8ドル。
ランボー・ツアーのすごいところは、その開催回数。シアトルのクウェスト・フィールドでは1日に2回しかツアーを開催していない。きちんと調べていないが、他の多くのスタジアムでもその程度の回数だと思う。ところがランボーでは、試合の前日と翌日は朝から夕方まで15分刻みでツアーがスタートしているのだ。「いつ行ってもツアーに参加できる」という状態になっている。それ以外の日にも1日4回は開催されているようだ。すごい。
私は10時からのツアーに参加した。私の他に10名ほどの参加者がいた。ガイドは2人のおっちゃん。まずツアーの「お決まり」で、どこから来たかを言わされる。「ミズーリ」「この近くから」、そして私は「ジャパン!」 驚く参加者。しかしガイドのおっちゃんは驚かない。「過去にはアイスランドやチリやアルゼンチンや・・・(あまりにも多くの国を言ったので全部覚えてない)、そんなところからも来ているよ」ということだった。私も含めてその人たちは、パッカーズという偉大なチームがなければ一生グリーンベイにやって来ることもなかっただろう。
ツアーはちょうど1時間。こんな行程だった。
・外の銅像(ランボーとロンバルディ)を見ながら、チームの歴史について
・スカイボックス
・メディアルーム前
・ロッカールーム前
・選手入場口からフィールドへ
・Oneida Nation Gate を出て、ドン・ハットソン・センターの説明
メディアルーム前では、ガイドのおっちゃんが「静かにね」と言っている。「インタビュー中です。お静かに」という看板も出ている。試合翌日だし、記者会見中なのか(その時はその程度しか思っていなかったが、後に重大な記者会見だったことが判明)。
フィールドに出た時は感動した。ファーヴもこの選手入場口から出てきたのか。芝の生えている所には入れないので、ラインの外からフィールドを眺める。ガイドのおっちゃんが記念写真を撮ってくれる。私もフィールドを背に、1枚撮ってもらった。撮影が終わり戻る時、通路のコンクリートにたくさん土が上がっていることに気づく。選手のスパイクについた土がここに残されているのだ。土には芝がくっついている。いかにも天然芝のスタジアムっぽい光景だなと思っていると、ガイドのおっちゃんがこう言った。「芝の上には入れないけど、ここに落ちている芝は持って帰っていいよ」 笑う参加者。おっちゃんは続けて言った。「ほら、その芝、ファーヴが踏んだやつかもしれないよ!」 するとみな芝を拾い始めた。わかりやすいな。面白い。私もひとつまみ持って帰ってきた。あ、これを言ったら検疫にひっかかっちゃいますね(笑)。
ツアーが終わりおっちゃんと握手をしてもう一度エイトリウムに戻る時、参加者の女性が話しかけてきた。「あなた日本から来たの?」「うん。ファーヴが最後かもしれないっていうから、試合を観に来たんだ」「へえ!」「みんな、私のことをクレイジーって言うんだ」「いや、すごい(awesome)と思うよ!」
という会話をしている時、頭上のテレビで「Breaking News」が入った。見ると「Mike Sherman Fired」というタイトルで、パッカーズのトンプソンGMが記者会見をしている。シャーマンHC解任。みな立ち止まり、釘付けでニュースを見ている。メディアルームで行われている記者会見って、これだったのか! 今テレビで見ている光景は、私が今いる建物の中、すぐそこで行われているものなのだ。テレビを見ている人々の空気は、何となく重かった。シャーマンHCがチームを去ればファーヴが引退すると憶測されているからだ。私もしばらくそのニュースを見ていたが、音声が小さく何を言っているのかよくわからなかった。
気を取り直し、Hall of Fame へ。まず20分ほどのVTRを見る部屋に通される。パッカーズの歴史をまとめたものだ。映像があるので内容は把握でき、なかなか感動的なつくりになっているのだが、私のリスニング能力では細かいところまでは聞き取れない。勉強しないと。それが終わると展示室へ。チーム創設から現在まで、様々な説明と展示物がある。ロンバルディ時代のものが多い。私は1990年代以降しか詳しいことがわからないのでちょっと残念。
ファーヴとレジー・ホワイトがやってきた頃や1996年シーズン(スーパーボウル制覇)の展示が楽しい。彼らのユニフォームやスパイク、彼らが表紙を飾った雑誌などがガラスケースに収められている。その近くでは「ランボー・リープ」の起源について、VTRが流れている。ある試合でレジー・ホワイトがファンブルボールを拾い、リロイ・バトラーにパス。バトラーはそのままエンドゾーンまで持っていき、TD。大喜びするファンが目に入り、バトラーは思わず客席に飛び込んだ。それが「ランボー・リープ」の始まりだということだ。その試合のVTRが流れている。興味深い。
最後の部屋では、ロンバルディ・トロフィーが展示されている。おそらくレプリカ。3つ並ぶ光り輝くトロフィー。このチームの栄光そのものだ。
Hall of Fame を出ると、突然女性が話しかけてきた。「私は Green Bay Press-Gazzette 紙の記者ですが、シャーマンHCが解任されたことについてどう思いますか?」と言っている。突然のことで舞い上がってしまい、「ごめんなさい。日本から来ているので、英語で上手くコメントできるかどうか・・・」と断ってしまった。後になって「何でもいいから言っておいたら、明日の地元紙に載っていたかもしれなかったのに!」と後悔した。あー、しまった(笑)。
昼食時だったので、エイトリウム内のレストラン「Curly's Pub」へ。BBQポーク・サンドイッチを頼んだが、これが超ビッグサイズ!! 食べきれず、お持ち帰りにしてもらう。海外の一人旅では、いつも食事に頭を悩ませている。一人でレストランに入るのも気が引けるので、シアトルではデリやフードコートでテイクアウト(To Go)してホテルで食べていた。グリーンベイでは珍しくレストランに入ってみたものの、結局お持ち帰りだし。
サンドイッチを置きにいったんホテルに戻り、再びエイトリウムへ。目的は「Pro Shop」だ。ポロシャツやキャップ、ファーヴの自伝本などを買う。そしてしばらく悩んでから、ヘルメットを買ってしまった。さすがにオーセンティック(約2万6千円)は高いので、レプリカ(約1万2千円)にした。それでも高いけど。よく考えてみると、一人グリーンベイに行って試合を観て、ヘルメットまで買ってスーツケースに入れて帰国する女ってちょっとあり得ない(笑)。自分で言うのもなんですが、なかなかレアな存在ですね、私。バカです。