« 想像をはるかに超えて | トップページ | いっそのこと磔磔2daysとかやっちゃえばいいんだよ »

2008/02/25

揃わないビンゴ リーチならダブル

アナログフィッシュ
HALF YEAR PRESENTATION  "SIX PISTOLS"
2008.2.23 Sat.
京都磔磔

斉藤州一郎の体調不良により、下岡晃、佐々木健太郎の2人でライヴをおこなうことにしたアナログフィッシュ。ライヴ2日前にメールニュースでそのことを知った時、猛烈に州さんが心配になったのと同時に、「アナログフィッシュは一体何を考えているんだ!」と驚いた。ありえない。

普通、ドラムがいなければバンドは成立しない。さらにアナログフィッシュについて言えば、サポートドラムや打ち込みで代替することは到底無理だ。あのダイナミックかつ唄うドラム(唄うドラマーという意味ではない。ドラムが唄ってるのです!)は唯一無二。他の誰かが代打として叩いたら、ほとんどの曲が輝きを失い萎えてしまうに違いない。それほど個性的なプレイスタイルを持つ州さん。

アナログフィッシュというバンドにおいて、州さんの存在はとんでもなく大きい。

ということで、2人でギターを持って弾き語りスタイルしか考えられないよな・・・と思いながら、そして州さんの体調について説明があるのかを気にしながら、ロックの神様/魔物が棲む磔磔に入場。入口では告知どおり、チケット代の半額を返金される。複雑な気持ち。ステージに向かって右側、前から3列目ほどに陣取ってステージを見た。

ああ、ドラムセットがない・・・。機材がものすごく少ない。こんなに寂しくがらんと空いた磔磔のステージ、初めて見た。いつものグレッチのセットがないなんて信じられないな。やっぱり弾き語りなのかとあらためてステージを見ると、いつもの下岡さんのギターがある。健ちゃんのベースもある。

え!? エレキギターにエレキベース!!??
ドラムレスで普通にライヴするつもりなのか、この2人は!!!

想像をはるかに超えたライヴが、このあと繰り広げられた。

(ものすごく長文です。おそらく過去最長・・・)

ステージには椅子や譜面台もあり、その後2台のアコースティックギターもセットされた。

結局、「アナログフィッシュ・マイナスワン」と命名された「エレキギター+エレキベース+リズムは足踏み」での演奏、「アナログフィッシュゆずバージョン」と命名された「2人でアコギ」、そして「各人のアコギ弾き語り」でのステージとなった。


<セットリスト>
・LOW (アナログフィッシュ・マイナスワン)
・ガールフレンド (アナログフィッシュ・マイナスワン)
・Clap Your Hands (佐々木新曲・アナログフィッシュ・マイナスワン)

・ナイーブパパ (下岡弾き語り)
・ビンゴ (下岡弾き語り)
・品川 (下岡弾き語り)
・? カヴァー (下岡弾き語り) ←徳永英明の「夢を信じて」らしい。

・Happy Birthday (下岡伴奏)

・ワイノニーを聴きながら (佐々木弾き語り・吾妻光良&ザ・スウィンギン・バッパーズのカヴァー)
・愛の歌 (佐々木弾き語り)
・Stubborn Kind of fellow (佐々木弾き語り・Marvin Gayeのカヴァー)

・Life goes on (アナログフィッシュ・ゆずバージョン)
・アンセム (アナログフィッシュ・ゆずバージョン)

・Hello (アナログフィッシュ・マイナスワン)
・スピード (アナログフィッシュ・マイナスワン)

En.1
・ライトブライト (下岡弾き語りのはずが、ゆずバージョンに)
・行くのさ (佐々木弾き語り)
・BGM (アナログフィッシュ・マイナスワン)

En.2
・拍手鳴り止まず。2人で出てきて挨拶。「今日はもうできません」

***
いつものように暴れながら登場した健ちゃん。両手でピースしながら磔磔の階段を降りてきた下岡さん。これを見て少し安心した。2人とも思ったより明るい。健ちゃんはいつもの黒ネクタイ。下岡さんはステージに上がると上着を脱ぎ、Tシャツになった。

最初に今回のことを謝る下岡さん。「州も早く治して戻りたいって言ってる」という発言があったものの、詳しい状況には触れないままだった。不安は消えないものの2人の明るい表情を見て、今日は楽しもう!と気持ちを切りかえた。

2人でやることに決めて「おお!」とか言いながら練習しているという下岡さんの発言。どんな曲をどんな風にしてやるんだろう・・・。みんな固唾をのんで待つ。

2人でアイコンタクトしてカウントを合わせ、「LOW」が始まった。歓声が起こる。イントロを聞いて、「いける!」と確信した。大丈夫。今日はきっといいライヴになる。

カウントをとった後、クリック音みたいなものが聞こえる。これは一体何?と思っていたら、下岡さんから説明があった。2人でやるって決めた瞬間、「周りの大人たち」(スタッフのことをこう表現したのが可笑しかった)が何やら装置を作りはじめたらしい。木の板にマイクが仕込んであり、足踏みして取ったリズムをマイクで拾うというものだった。これが結構大きな音になり、よく聴こえる。でも、ずっと足踏みするのですぐ暑くなると健ちゃん。健ちゃんはそうでなくても動きが激しいのにね(笑)。

2人が常にアイコンタクトを取っている。こんな光景はじめて。2人の間で演奏がどんどん熱くなって、グルーヴが生み出される。

「京都、寒いね~」と下岡さん。ゆるいトークにほんわかした笑いが起こる。「上(楽屋)は寒くて凍えてたんだけど、ここは暑いね。みんなの熱気?」 その通りです。

「ガールフレンド」では、「サンキューベイベー」という歌詞を「サンキュー京都!」に替えていた。新曲「Clap Your Hands」は不安だけれどみんなで手を叩いて歌おう、踊ろうという陽性な曲。佐々木曲が3曲続いた後、健ちゃんが「次は下岡晃ワンマンショーです」と発言。おもむろにアコギを手にする下岡さん。まさかの下岡さん弾き語り。

「まさか人前でやることになるとは」と言った下岡さん。5年位前にやって以来らしい。「何はともあれ、レアなことには間違いないから」と言った。そんなの言われなくてもわかってるよ! ものすごいレアだ。

「バンドの曲と弾き語りの曲とでは作り方が違う」というソングライティングの秘密(?)を明かす。確かに違う。タイトルからして面白いし。

中古で3万5千円のアコギをメジャー持参で「ここが反ってる。おかしい」と主張して、2万5千円に値切ったのを使用していると機材の秘密まで明かす(笑)。とにかくよくしゃべる下岡さん。

「ナイーブパパパ~」「揃わないビンゴ リーチならダブル」「君が未来だと言うことを過去だと思う僕は 何一つ分かってなくて」「せっかく品川に行ったのに 楽しかったのはコーヒー屋だけだった」なんていう歌詞の歌たち。この曲、おそらくもう2度と聴けないんだろうな。弾き語りの下岡ワールドは、かわいい感じだった。でも、しっかりソウルを感じたな。「揃わないビンゴ リーチならダブル」という歌詞、「そうそう、生きていくってこういう感じだよな」と思った。うまくいかないこともあれば、小さな幸せもある。それが日常。それが人生。

その間、健ちゃんはステージ袖で体育座りして見てた(笑)。

一人弾き語りということで、「こうすればスポットライトを独り占めできるんだな」なんて言ってご機嫌な下岡さん。一人3曲という約束を破って4曲をやった。カヴァー曲。「僕らの世代の人なら絶対知ってると思うんだけど」という曲、聴いたことあるような気がするけどよくわからなかった・・・。コードをじゃかじゃか確認してから、1番だけ披露。

「そうだ、今日何の日か知ってる?」という下岡さんの一言で場内拍手。この日は健ちゃんの誕生日でした。「健ちゃん、こっち来て。ここに直立不動で立って」と袖に座っていた健ちゃんをステージに呼び寄せ、下岡さんのギター伴奏で「ハッピーバースデイをみんなで合唱。わあ、何て温かくて幸せな空間なんだろう。みんな笑顔。

「29年間生きてきて、こんなにたくさんの人に祝ってもらったのは初めてです」と健ちゃん。この日は皇太子さまと健ちゃんのおばあさんも誕生日だそうで(笑)。

そして次は、健ちゃんのブルース魂炸裂の弾き語り。体中で弾き、歌う。座っているのに大きく体がスウィングしている。マイクを通さない生音や生声が聞こえてくるほど迫力がある。その間、下岡さんはステージ袖で座って待機。私の1m先にいるよ。気になって仕方ない。

カヴァー曲を自分の曲へと消化する歌力がすごい。かっこいい。パワー全開。「愛の歌」は6月の想う壺音泉@大阪城野外音楽堂で聴いた曲。素敵なラヴソング。

全身で歌う喜びをストレートに表す健ちゃんと、音楽の深さをじっと掘り下げる下岡さん。同じ弾き語りというスタイルでも、出てくるものが全然違う。それがアナログフィッシュの魅力と特異さの理由なのだろうと思う。

アナログフィッシュゆずバージョンの「Life goes on」はとても染みた。声とギターがよく聴こえて、歌詞がどんどん心に入っていく。「アンセム」では州さんのコーラスパートがないのがものすごく寂しい。彼のコーラスがないと曲の印象が変わる。州さんがいないという現実に引き戻されて、彼に思いをはせる。州さん心配・・・。

北海道で3人がケンカした話が面白かった。本番5分前に「あの時のあの一言が気に入らない!」というつまらない話から険悪なムードになり、ライヴ前のおまじない(?)もやらず、ライヴスタート。しかしそのライヴ、健ちゃんはすごく楽しかったらしい。下岡さんが「それって誰が言ったんだっけ?」と聞くと健ちゃんは「州一郎・・・」 場内大爆笑。「おあとがよろしいようで」と下岡さんが締めて、グダグダにならずにトーク終了。

再びマイナスワンに戻り、「Hello」。まさかのハロー! ドラム抜きでこの曲をやれるの!? 下岡さんが「手拍子、足踏みで協力して」「目を細めると、ドラムが見えてくるから!」「ハローハローハローこちらアナログフィッシュです。磔磔の皆さん聞こえますか、アナログフィッシュです」と立て続けにしゃべり、会場を煽っていく。客席もそのコミュニケーションを待っていたかのように、大きな手拍子で応える。

本編ラストは「スピード」。州さんのドラムソロを健ちゃんが口で歌った! 口ドラム! 思わず大爆笑してしまった。でも、彼らが本気でこれをやっていると気づいた時に、ぐっときた。

彼らは本気なのだ。本気でドラム抜きでライヴをやりきろうとしている。いつだって本気だけど、この日の本気加減は尋常じゃなかった。ドラム抜き、板の上で足踏みをしてリズムを取る、口ドラム・・・。これを文章にしてしまうと、プロとしてありえないライヴだ。そんなので金を取るのかなんて口の悪い人は言うだろう。でも、この本気加減を目の当たりにした人はそんなこと言えまい。本気であれば、意思は必ず伝わるんだ。伝わったから、客席は大きな手拍子で彼らのドラムとなるべく手を叩き続けたんだ。

ものすごく大きな拍手。アンコール。

じゃんけんで負けたという下岡さんがまず弾き語りと思いきや、「健ちゃん、ちょっと助けて」と後ろの階段に座っている健ちゃんを呼び出す。アナログフィッシュゆずバージョン。

下岡さんの新曲「ライトブライト」。ファルセットで健ちゃんが「ライト」と歌うと下岡さんが「ブライト」と掛け合う。「ライト、ブライト、デイライト」と韻を踏み、進行していく。名曲。まだまだ進化する予感。終わると大きな大きな拍手。下岡さんはそれに応えるようにガッツポーズ。「次は必ずバンドでやるから」と言っていた。期待して待ってます。

次は健ちゃんの弾き語り。「何かリクエストないですか?」と客席に聞く。すると「行くのさ」とあともう1曲(「僕ったら」?)をリクエストする声が上がり、決められず困る健ちゃん。アワアワして口をパクパクさせてました(笑)。結局、最初にリクエストされた「行くのさ」を見事な歌声で披露。

最後は「Do you still need BGM?」「No thank you!」といういつものコール&レスポンスから「BGM」。「Hello」と同じく「みんなの力を貸して!」という下岡さんの声で手拍子がドラムとなり、大団円で終了。

鳴り止まない拍手。長い長い拍手。

2人が出てきて、最後の挨拶。「今日はもうこれ以上できません。本当に来てよかった。次はみんなのドラムと州のドラムでカオスな空間を作ろう!」と下岡さんが締めくくった。

万全の状態ではないけれど、やると決めた以上力を出し切った。出し惜しみしていないことに心を打たれた。ウェットなんだけど仕方ない。冷静に判断できていないかもしれないけど仕方ない。本当に心を打たれてしまったのだから。本当に素晴らしかった。

州さんが欠けているのだから、当然完璧なライヴではない。でも、2人がこの緊急事態において不恰好で不完全ながら放った光は、今までで一番輝いていた。それは強烈な光だった。そういう点で昨日のエントリで「アナログフィッシュ史上に残る素晴らしいパフォーマンスだった」と書いたのです。

2人の本気とお客さんへの愛を、お客さんは真正面から受け止めてしっかり2人に返した。アナログフィッシュ、ファン、スタッフが一体となって、今日のライヴを作り上げた。そのうちの1人となれて私は幸せだと思った。この日磔磔にいることができて良かったと思った。

外は雪が降って寒かったけど、満ち足りていた。

ありがとうアナログフィッシュ。この日のことは忘れないし、忘れられないと思う。そして何より、州さんの回復を祈っています。次は3人で磔磔に来てください。待ってます。

|

« 想像をはるかに超えて | トップページ | いっそのこと磔磔2daysとかやっちゃえばいいんだよ »

音楽 2008」カテゴリの記事

アナログフィッシュ」カテゴリの記事

コメント

あつくかたってますね~
伝わりますよ^^v(いつもは??)

すっごくよかったですよね♪
レアなライブに連れってくれてありがとうございました^^
本当に良かったですよ♪
いつものライブを見ていないから、yamaさんのレア度・あったかさの感動度とは違うのが、少しもったいない感が・・・

ちょっと、いろいろ覗いているとクールな下岡さんが~などの感想を書いてらっしゃる方の日記をみて、あっ!そうなんだ~とちょっと驚いてみたりしてます。
あの、トークと微笑みにやられました♪
また、連れて行ってくださいね^^


投稿: 奏多 | 2008/02/28 09:36

奏多さん:
ライヴ+京都観光、お疲れ様でした。
ドラム抜きという超非常事態でしたがいいライヴでしたね。
思わず熱く語ってしまったよ・・・。

下岡さん、素敵でしょ(笑)。
でもねー、州さんはもっとすごいんだよ!
また誘います。行きましょう!!

投稿: yama(Key) | 2008/02/28 22:24

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 揃わないビンゴ リーチならダブル:

« 想像をはるかに超えて | トップページ | いっそのこと磔磔2daysとかやっちゃえばいいんだよ »